2019(令和元)年6月29日(土)に女子栄養大学駒込校舎において、第27回給食経営管理学会研修会が開催されました。今回の研修会では、5年に一度の「日本人の食事摂取基準」の改定に合わせ、「日本人の食事摂取基準(2020年版)の概要と主な変更点」をテーマに、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の策定委員でいらっしゃる女子栄養大学教授の上西先生にご講演いただきました。本研修会は、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の最終報告書の公表に先立って、その概要や変更点を学ぶ貴重な機会となりました。
講演では、食事摂取基準の「総論」、「各論」、「対象特性」、「生活習慣病との関連」などの膨大な情報を、2時間の講演時間の中にコンパクトにまとめていただき、2020年版の主な改定内容とそのポイントについて大変わかりやすくご教示いただきました。2020年版の主な改定のポイントとして、今回の改定では2015年版を基本としつつ、「社会生活を営むために必要な機能の維持および向上」を策定方針に加え、これまでの生活習慣病(高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎不全)の発症予防、重症化予防に加え、高齢者の低栄養、フレイル予防を視野に入れて検討がなされたこと、具体的には高齢者の年齢区分やフレイル予防の観点からたんぱく質の目標量の見直しが行われたこと、生活習慣病における発症予防の観点から、食塩の目標量が見直され、重症化予防を目的として食塩やコレステロール量が記載されることについてご説明いただきました。また、講演の中では、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」報告書を読む際のポイントや、活用時の留意点等についてもご教示いただきました。各栄養素のEARやAI等の基準が、それぞれどのような根拠や目的で設定されているか理解することが、食事摂取基準の正しい活用につながると再認識できました。
本研修会は、108名にご参加いただき、盛会のうちに終了いたしました。最後になりましたが、ご講演を賜りました上西先生、ご参加いただきました皆様、また研修会の運営にご協力いただきました先生方に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
研修委員 縄田敬子(相模女子大学)