第33回日本給食経営管理学会研修会報告
2022(令和 4 )年 9 月 30 日(金)に、本学会の第 33 回研修会が開催されました。
開催概要は次の通りです。
テーマ:
診療報酬改定による適切な栄養管理に求められる給食管理業務の高度化を考える
開催方法・開催時間:
WEB 開催<zoom を用いたリアルタイム方式での開催>
2022年 9 月 30 日 金 18 時 30 分〜 20 時 00 分
後日オンデマンド方式にて動画を配信(2022 年 10 月 5 日(水)~ 1 1 月 6 日(日))
研修会では、講演 ① 「 令和4年度診療報酬改定を踏まえた栄養管理の方向性について 」 と題し、厚生労働省 保険局医療課 課長補佐の日名子まき 先生 よりご講演いただきました。 講演② では 「 適切な栄養管理に求められる給食管理業務の高度化~厚生労働行政推進調査事業費補助金研究より~ 」 「 1) 医療施設の給食管理業務の課題と効率化、高度化 」について 静岡県立大学食品栄養科学部 教授 の市川陽子 先生 に、「 2)治療食における栄養基準量(食種)の集約例 」について、 大阪樟蔭女子大学健康栄養学部准教授の赤尾 正 先生 にご講演いただきました。ご講演やその後の質疑応答・ディスカッションは、座長の 静岡県立大学食品栄養科学部 教授 の市川陽子 先生 のもと進められ、活発な議論が行われました。
講演① では、日名子 まき 先生より令和 4 年度診療報酬改定のポイントをわかりやすく丁寧にお話いただき、管理栄養士にはこれまでの病棟訪問型から病棟配置型への転換が期待されているが、「病棟での栄養管理を支えるのは給食 」である。 病棟業務ばかりに注目が集まるが「 給食経営管理と病棟での栄養管理は両輪である」と力強くお話くださいました。
病棟業務と給食経営管理を限られた人材で実施していくためには、給食経営管理の効率化・高度化がキーとなり、これらを理解した管理栄養士が必須です。
講演 ② では、厚生労働行政推進調査事業費補助金研究の成果より、市川陽子先生が給食管理業務の現状と課題についてお話いただき、全国的にはクックサーブ方式の特定給食施設が多いこと、調理作業の合理化・効率化のためには ① 食種を減らす工夫、 ② 献立作成の方針検討、 ③ 調理作業工程の集約・簡素化を目指した工夫が必要であること、そして効率化と品質管理のバランスをとることが重要であり、このようなスキルを持った管理栄養士・栄養士の養成が必要であるとお話くださいました。
続いて講演 ③ では赤尾正先生より 食種の集約の実際についてお話いただき、食種や食形態の標準化では施設を超えた共通認識が必要であり、研究成果より「食形態の基準」や「食形態別使用食品の 適用の目安表」の試案をお示しくださいました。また栄養・食事管理のIT化についても、電子カルテ・オーダリングシステムにおける業務標準化(コード化)の必要性についてお話しくださいました。
ご講演後の質疑応答・ディスカッションでは、臨床と給食を深く理解し、両輪のバランスをとりながら、専門職としての役割を果たすスキルを持った管理栄養士が求められており、本学会としても取り組みを継続する必要性が確認されました。
今回の研修会は184名の参加登録があり、関心の高さが示されました。今回は、初めて平日の夜の開催でしたが、アンケート結果では「平日の夜」の開催を希望する声が多く、「オンデマンド配信があればいつでもよい」という声も少なくなく、リアルタイムのオンライン開催と後日のオンデマンド配信により、より参加しやすい研修会が実現できていると考えます。
ご参加いただきました会員の皆様、研修会の運営にご協力を賜りました皆様に深謝いたします。
次回の研修会は2023年年2月から3月頃頃に開催予定です。研修内容、開催方法等の詳細が決まりましたら、
学会ホームページ等でご案内いたします。今後もお力添えいただけますようよろしくお願い申し上げます。
研修委員会副委員長 田丸 淳子(神戸学院大学栄養学部)